土地家屋調査士に依頼するといくらかかる?~費用の目安と考え方~

1.はじめに

土地や建物の調査を土地家屋調査士に依頼しようと思ったとき、
まず気になるのは「費用はいくらかかるのか?」という点ではないでしょうか。

費用に関する情報は意外とネット上に詳しく掲載されていないこともあり、
問い合わせるまで不安を感じてしまう方も多いかと思います。

そこで今回は、当事務所で実際にご依頼いただく代表的なケースをもとに、
費用の目安とその考え方についてわかりやすくご説明いたします。

これから土地家屋調査士への依頼を検討される方の参考になれば幸いです。

なお、費用は事務所ごとに異なりますので、あくまでも参考としてご覧ください。

2.費用の目安について

土地家屋調査士への依頼には、さまざまな種類があります。
ここでは、よくご依頼いただく代表的なケースごとに、ざっくりした費用の目安をご紹介します。

※費用はすべて税別で記載しております。
※あくまでも当事務所の目安であり、土地の状況や資料の有無などによって大きく変動する場合があります。

土地に関する登記業務

土地地積更正登記

登記記録上の土地面積を正しい面積に修正するための登記です。

費用の目安は 9万円〜 ですが、隣接地との境界を確定させる必要があるため、多くの場合は後述の「境界確定測量」も合わせて必要になります
そのため、実際の総費用は測量費用も含めて検討する必要があります。

土地分筆登記

1つの土地を複数の土地に分けるための登記です。

費用の目安は 9万円〜 ですが、隣接地との境界を確定させる必要があるため、多くの場合は「土地地積更正登記」や後述の「境界確定測量」も合わせて必要になります
そのため、実際の総費用は測量費用も含めて検討する必要があります。

土地合筆登記

複数の土地を1つの土地にするための登記です。

費用の目安は 5万円~ですが、権利証や登記識別情報の有無により異なります。

土地地目変更登記

土地の用途が変更した際に登記記録上の地目を現況に合うように変更するための登記です。

費用の目安は 5万円~です。

建物に関する登記業務

建物表題登記

建物の登記記録の表題部を新たにつくる登記です。

新築建物の場合、費用の目安は 9万円~ですが、建物の大きさや種類により異なります。
未登記建物の場合、費用の目安は 12万円~ですが、建物の大きさや年代、資料の有無により異なります。

建物滅失登記

建物が解体などによりなくなった時に申請する登記です。

費用の目安は 4万円~ですが、滅失した年代や資料の有無により異なります。

建物表題部変更登記

増築などにより建物の形状や大きさ、用途が変わった時に申請する登記です。

所在や種類の変更などで測量が伴わない場合には、費用の目安は 4万円~です。
増築や一部取壊しなどで測量が伴う場合には、費用の目安は 8万円~です。

上記いずれの場合でも、建物の大きさや変更があった年代、資料の有無により異なります。

測量に関する業務

現況測量

土地の現況をそのまま図面化するための測量です。

通常であれば費用の目安は 7万円~10万円ですが、土地の大きさや障害物の有無、具体的なご要望の内容により大きく異なります。
またご依頼者様の目的によっても必要となる測量箇所や項目は様々ですので、ご依頼者様に合わせて個別に対応させていただきます。

境界確定測量

土地の境界を明確にするための測量で、隣接地所有者様等との立ち会いも含みます。

通常であれば費用の目安は 50万円~80万円ですが、土地の大きさや既存資料の有無、役所手続きの難度により大きく異なります。
特に、隣接地との境界を確定させる必要があるため、隣接土地の数や境界資料の有無に大きく左右されます

復元測量

亡失した境界標識を既存資料等に基づき現地に復元するための測量です。

通常であれば費用の目安は 10万円~20万円ですが、土地の大きさや既存資料の精度、復元する境界点の数により大きく異なります。
特に、復元する境界点に関係する隣接土承諾を得る必要があるため、隣接土地の数に大きく左右されます

3.費用が変動するポイントについて

土地家屋調査士の業務では、案件ごとの条件によって費用が大きく変動することがあります。
ここでは、実際に費用に影響しやすい代表的なポイントを5つご紹介します。

ポイント①:隣接土地の数

隣接する土地の数は、費用に大きく影響します。
というのも、多くの場合、隣接地の所有者を調べて連絡を取り【捜索】現地で立会してもらい【立会】最終的には書面で承諾をもらう【承諾】必要があるからです。

中でも「捜索」は特に手間がかかることが多く、登記記録をもとに日を変え、時間を変えながら、何度も現地や登記簿記載住所を訪問して所有者を探すこともあります。
そのため、土地が小さくても隣接地の数が多ければ費用が高くなりますし、逆に土地が広くても隣地が少なければ費用を抑えられることもあります。

また、隣地の所有者が共有名義だったり遠方に住んでいたり登記がかなり古かったりあるいはマンションだったりする場合は、さらに対応が難しくなります。

なお、当事務所では、捜索・立会・承諾取得といった一連の作業について、実際に必要な分だけをお見積もりに反映しています。
たとえば「お隣さんとは日頃から顔見知りなので、立会の依頼は自分でします」というような場合は、その分の費用を差し引くことも可能です。
できるだけ無駄のないご提案を心がけていますので、お気軽にご相談ください。

ポイント②:土地/建物の大きさや形状

調査する土地や建物の大きさや形状も、費用に直接影響する大きな要素です。

基本的に、土地が広ければ、それだけ測量や調査にかかる手間や時間も増えるため、費用も高くなる傾向があります。
また、形が複雑な土地(入り組んでいる、曲がっている、角が多い、隙間が無いなど)の場合は、測量や図面作成にも時間がかかるため、こちらも費用に反映されやすくなります。

建物についても同様で、建物の面積が大きいほど、外周を測ったり、各階の構造を確認したりする作業が増えるため、費用が高くなることがあります。
また、複雑な形状の建物(L字型や凹凸が多い形など)は、シンプルな長方形に比べて測量や図面作成の工数が多くなるため、こちらも費用に影響する場合があります。

同じ業務内容でも、大きさや形によって作業の負担が変わるため、その分が見積にも反映される形になります。

ポイント③:既存資料の有無や精度

登記や測量を行う際、既存の図面や資料が「あるかないか」によっても、必要な作業や費用は大きく変わってきます。

たとえば、法務局や役所に過去の地積測量図や境界に関する図面が残っていたり、所有者様がお手元に筆界確認書や境界に関する図面、権利証などを保管されていたりする場合、調査や測量、隣接地との立会の手間を省ける可能性があります。
結果として、既存資料があることで費用を抑えられるケースも多く見られます。

ただし、図面や資料があったとしても、その作成年代によって精度や信憑性に大きな差がある点には注意が必要です。
測量技術は日々進歩しており、古い図面では現在の基準と合わなかったり、記載内容が不十分だったりする場合もあります
また、図面の内容と実際の現況と食い違っているケースも少なくありません。

そのため、「資料が揃っている=そのまま使える」とは限らないというのが実情です。
調査前に資料の有無と内容をしっかり確認したうえで、どの程度の作業が必要かを見極めることが、正確なお見積もりにつながります。

ポイント④:周辺環境や現地の状況

周辺環境や現地の状況も、費用に影響する大切なポイントです。

たとえば都心部などでは、現場の近くに車を停められないことも多く、測量機材を離れた場所から運び込まなければならないことがあります。測量には多くの機材や資材が必要となるため、駐車スペースが確保できない現場では、それだけ搬入や設置に手間や時間がかかります。
また、駅前や商店街など、人や車の往来が多い場所では、周囲に配慮しながら慎重に作業を進める必要があるため、調査や測量に必要な人手や作業時間が増える傾向にあります。

一方、郊外敷地内に車を停められるような場所であれば、こうした負担が少なく、スムーズに作業できることが多いため、その分コストを抑えやすくなります。

現地の状況についても考え方は同様です。
たとえば雑草が生い茂っていたり資材や廃棄物が置かれている場合は、測量の際に除去作業や足場の確保が必要になることもあります。
さらに、土地に高低差があったり形が複雑に入り組んでいたりする場合も、現地での測量作業が難しくなるため、必要な作業時間や準備が増え、結果として費用に影響することがあります。

加えて、現地に境界標識(プレートや杭など)が残っていれば、それをもとに測量や登記の作業を進めることができますが、境界標識が亡失している場合には、境界の位置を復元する必要があります
復元には、既存資料を調べるだけでなく、隣接地の所有者の捜索や立会、承諾の取得といった手続きも必要になるため、その分の費用が発生するケースがあります。

このように、周辺環境や現地の状況は一見小さな違いに思えますが、実際の作業には大きく関わってきます。
事前にしっかり確認しておくことで、より正確で納得いただけるお見積もりにつながります。

ポイント⑤:登記の内容や目的

登記の内容や、その背景にある目的によっても、必要となる作業や費用は大きく変わってきます。

たとえば一見同じように見える「建物表題登記」でも、新築したばかりの建物と、何十年も前に建てられた未登記の建物とでは、必要な調査の内容や確認事項がまったく異なります
新築であれば、建築確認書類や設計図書に基づき、現地の測量や調査をスムーズに進められる場合がほとんどです。
一方、古い未登記建物の場合は、役所での資料調査に加えて、所有者や築年数の確認、登記に使える資料の精査など、追加の調査が必要になることもあります。

また、「土地を一部売却するために分筆登記をしたい」という場合と、「将来の相続に備えて分けておきたい」という場合でも、どのような形で土地を分けるか、どの程度正確な測量が必要か、どの程度のスピードで業務を行うかなど、目的によって求められる作業が異なるケースもあります。

このように、登記の種類だけでなく、依頼の背景や目的によって作業内容は大きく変わるため、ご相談時にはできるだけ詳しくお話を伺いながら、最適な対応とお見積もりをご提案しています。

4.まとめ

土地家屋調査士への依頼にかかる費用は、ケースごとに大きく異なります。
隣接土地の数や土地・建物の大きさ、既存資料の有無、周辺環境、登記の内容など、さまざまな要因が費用に影響します。

だからこそ、正確な費用見積りにはお客様の具体的な事情を詳しくお伺いすることが欠かせません

当事務所では、お客様や土地・建物の状況に合わせて、オーダーメイドでのお見積もりをご提案しています。
また、「なぜこの金額になるのか」についても、できるだけわかりやすく丁寧にご説明するよう心がけております。

「これって大体いくらくらいかかるの?」といったご質問でも構いません。
お問合せは無料で承っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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